時と雨 | アジアを旅する

時と雨

バラナシに僕はいて、そろそろ次の町に行ってみようか、という気分になり次の目的地をカジュラホーという町に決めた。「カジュラホー」という響きがなんだか素晴らしい感じがするじゃないか。それに、カジュラホーに行けば、その後、タージマハルで有名なアーグラなどの町も経由してきれいにデリーまで一周コースで帰れるからもある。後から考えるとこの決断が旅の行方を大きく左右したんだけど。

バラナシで滞在してたホテルをチェックアウトしバラナシ駅へ。この日は朝からあいにくの雨である。僕が体験したインドの雨は、スコールみたいに一瞬の豪雨ではなくて、日本の梅雨に降るようなあのしとしとと降るタイプであった。その日は一日中降りそうなしっとり陰鬱な雨であった。

バラナシ駅でサトナ行きの切符を買った。カジュラホーまで行くには、寝台列車でサトナへ。サトナからは5時間くらいかけてバスでカジュラホーへ行くことになる。

切符を買ってから、出発の午後9時までは8時間も時間があったが雨の降る町のなかを動き回る気もなくなる。アジアなどの発展中の町では道路の状態が大抵わるく、バラナシでもそうであったが雨が降ると道路はどこも深い水溜りができてしまう。インドではどこにでも牛がいて大きな「うんこ」があちらこちらに転がっているから、もう雨が降ると大変なのだ。ちょっと歩くとサンダルはうんこか泥か何かわからないものまみれになるのだ。

といっても、ちょっと小腹がすいたので、駅前に小さく集まっている食べ物屋街があったので覗いて見た。そこのチャイやで、あげパンをつまみつつチャイを飲んで屋台のおやじと喋りつつあまりある時間を楽しんだ。チャイ屋のおやじとその子供がやっているチャイ屋は雨にも負けず大繁盛だ。といっても実際は客は僕だけで、大繁盛なのは僕とおやじと子供が僕の持ってたデジカメであれやこれやと遊んで盛り上がっていたからであるが。有り余る時間を僕はそのチャイ屋でしばらくつぶした。結局デジカメが活躍するのはこれが最後であったが。

ようやく午後3時くらいであるが、まだまだ時間はある。雨は一向に止む気配はなくバラナシの町にしとしとと降り続いていた。僕は駅の外国人待合室で持ってきた小説を読んだり、歩き方を読んだりして時間をつぶした。待合室には様々な国の旅行者が入れ替わり入ってきた。結局待合室が閉まった午後8時時に残っていたのは僕ただ一人だった。

サトナ行きの列車は1時間くらい遅れて出発した。今夜この列車で起こる出来事によって僕は旅の路線変更をしなければならなくなるのだった・・・

駅にて

Olympus OM10
AGFA APX400